鍼灸治療の種類と特徴

皆さんは、鍼灸治療に種類があることをご存じでしょうか?

大きく分けると、経絡治療、中医鍼灸、現代鍼灸となります。経絡治療と中医鍼灸では、それぞれ独特の診察法によって「証」を立て、それに基づく治療として体質改善を目指す「本治」と、症状に対応する「標治」の両方を行います。一方、現代鍼灸では、西洋医学的に病態を把握した上で、問題部位に治療を行う、いわば「標治」のみを行う、という違いがあります。以下がそれぞれの特徴になります。


経絡治療は、昭和10年代から日本で普及した治療で、主に脈診で経絡の変調を見極めて「証」を立て、「本治」として証に見合った手足の要穴と十数か所の全身調整穴に浅い置鍼を行って経絡を整えた後、「標治」として症状のある部位に運動鍼や灸を行うのが特徴です。治療時間は仰臥位・伏臥位でそれぞれ15分以上の置鍼を行うため比較的長く、どちらかというと刺激は弱めです。

経絡治療の「本治」の一部、伏臥位での全身調整穴への置鍼の参考例です。
経絡治療の背中の「標治」の参考例です。数多くの鍼が浅く刺鍼されています。

中医鍼灸は、中国伝統医学をベースとした治療で、中国では中医師が行っている治療です。(日本では鍼灸師が行います。)脈診、舌診、腹診から「証」を立て、その証に見合った経穴に対して治療を行います。鍼管は使わず、太めの鍼を用い、刺鍼中に手技で「響き」を出すのが特徴です。灸頭鍼や吸い玉(吸角)も多用されます。鍼の刺激はかなり強めです。

中医鍼灸の肩の「標治」の参考例です。北斗七星に見えることから「七星台」と呼ばれる配穴です。小腸経の七つの経穴に刺鍼します。
中医鍼灸で背中の「標治」によく用いられる吸角(吸い玉)の参考例です。

現代鍼灸は、西洋医学をベースとした治療で、スポーツの現場や大学病院のリハビリテーション科などで、医師の治療を補完する物理療法の一つとして行われている治療です。

経絡や経穴ではなく、理学的検査と触診によって問題のある筋・筋膜、腱、靭帯、神経などの組織を特定した上で刺鍼する、組織選択的な治療が特徴で、低周波鍼通電も多用されます。どちらかというと鍼の刺激はやや強めです。お灸はセルフケアで用いられることが多いです。当院では現代的な鍼治療のみを行います。

坐骨神経痛による足底の痺れの治療の参考例です。脛骨神経に通電しています。